日本のシンデレラ物語

こめんぶく あわんぶく (幼児みんわ絵本)
松谷 みよ子

このお話、あまり有名ではないのですが、是非知っておいていただきたい絵本です。なぜなら、「シンデレラ」にとてもよく似ているお話だからです。

「シンデレラ」は外国の昔話でありながら日本ではよく知られている物語の一つで、絵本がなくても多くの人があらすじを語れる物語ではないでしょうか。
・お母さんを亡くした娘とその父の所に継母がきて、自分の実子のみ可愛がり、娘にいじわるする。
・お父さんはしばらくして亡くなり、シンデレラ一人となり、ますますいじめられる
・舞踏会の日、シンデレラは仕事を言いつけられ、ひとり舞踏会に行けずに悲しんでいるところへ魔法使いが現れる。
・魔法使いのおかげで着飾り、ガラスの靴を履いて舞踏会へ行き、王子様と出会う
・娘は12時にあわてて家に帰り、靴の片方をお城に落とす。後日、ガラスの靴を頼りに王子様の家来がシンデレラを探し、めでたくハッピーエンド

というような、物語です。
この要所要所のポイントが、かなり共通していて、読んでいて驚かされる物語が、この「こめんぶく あわんぶく」なのです。

継母が来るところもおなじ、いじわるされるところもおなじ、お父さんが死んで、ますますつらい目にあうところもおなじです。
シンデレラ物語で「ガラスの靴」となっているところは「こめんぶく あわんぶく」では「げた」。
シンデレラ物語で「王子様」が登場するところは「こめんぶく あわんぶく」では「庄屋様の若息子」。
そしてなんと、「魔法使い」に至っては、「こめんぶく あわんぶく」のほうでは「やまんば」が登場するのです。
いかにも日本ではぐくまれた民話らしい展開。なのに本当にシンデレラ物語によく似ています。

親子で読んでいると「えー!!シンデレラと似てる!」という感想が、きっとこぼれるはず。

世界の奥深いつながりを感じることのできる、素敵な日本の民話です。
ぜひ、読んでみてくださいね。

ももの里

ももの里
ももの里
毛利 まさみち

久しぶりに、心が動かされる絵本に出会いました。
よく知っているお話の「もと」がこの絵本には詰め込まれています。

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まず、節分の「もと」。
この絵本の中で、どうやって鬼を豆で退治するのか、書かれてあります。
このお話の中では、豆で鬼を追い払うことを「節分」には全く結びつけていないのですが、鬼から村人を救うため、豆をあるアイデアで利用した物語。

次に、日本の昔話としてはあまりにも有名な「桃太郎」の「もと」。
ももの良く実る「ももの里」という村に生まれた大切な男の赤ん坊を、鬼から守るために使われた「もも」。
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…これだけのキーワードでは、さっぱりこのお話がお分かりにならないかと思いますが、ぜひ、実際に読んでみて、読んだ時の意外性とわくわく感を、感じていただきたい絵本です。

なるほど!
えぇ!そうなの!?

と子供たちと一緒に驚きを共感しながら読みたい絵本です。
おすすめです。





そらをとんだこめだわら

そらをとんだ こめだわら (ひさかた傑作集)
二俣 英五郎

実際にこの絵本が昔話なのかどうかはわかりませんが、いかにも昔話らしい雰囲気なので、「日本の昔話」のカテゴリに入れてしまいました。

とっても楽しい物語なのでぜひご一読をお勧めします。

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ある村の東のほうに、よくばりものの庄屋さんがおりました。
同じ村の西のほうには、これまたよくばりものの庄屋さんがおりました。
そしてまたこの村には、なんでも願い事をかなえてくれるありがたーいおじぞうさんがありました。

ある年の秋、村は大豊作。東の庄屋さんも西の庄屋さんもほくほくして米をどっさり収穫しました。
米はたくさんの米俵になったのに、東の庄屋さんは「西の庄屋さんの米も自分のものにしたい」と考えました。
西の庄屋さんは西の庄屋さんで、「東の庄屋さんの米も、自分のものにしたい」と考えたのです。

そこで二人はお地蔵さんにお願いしました。
なんでも願い事をかなえてくれる、ありがたーいお地蔵さんです。

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…さて、この手の話は高く「欲深ものはバチが当たる」ことが多いのですが、このお話はどうでしょうか。

結末は是非本で確かめてみてほしいのですが、とってもうれしいハッピーエンドを迎えます。

ぜひ、読んでみてくださいね。

たいこのすきな赤鬼

たいこのすきな赤鬼
たいこのすきな赤鬼
松谷 みよ子

日本の昔話はいくつ知っていてもいいですね。
こちらの「たいこのすきな赤鬼」はその名の通り、太鼓の大好きな赤鬼の物語です。

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ある所に、赤鬼がおりました。恐ろしい風貌の、あの赤鬼です。
それなのにこの赤鬼ときたら、太鼓が大好きでした。
来る日も来る日も、ドンドコドンドコ割れるような大きな音で太鼓をたたいては、
「どうだい、おれのたいこのうまいこと」
と一人で威張っておりました。

ところが、赤鬼はだんだんつまらなくなってきました。
一人で太鼓をたたくだけではなくて、誰かにほめられたいと思ったのです。
そこで赤鬼は地の割れるような大声で、山の動物たちを呼び集めました。

あつまれーーーー!!

動物たちは集まってきました。土のなかのネズミまで、集まってきました。
ところが赤鬼の太鼓を聞くと、さあ大変。
あまりの大きな音に、耳が壊れそうになるやら、体がポンポン跳ねるやら、みんな逃げだしていきました。

夢中で太鼓をたたき続けていた赤鬼でしたが、みんな逃げたとわかると、赤い顔をますます赤くして怒り出しました。山は大変なことになりました…
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結末は山の神様が、うまい具合に解決してくれる物語です。
山の動物たちはもちろんのこと、赤鬼もちゃあんと願いをかなえます。

ぜひ、読んでみてくださいね。

能の絵本

道成寺―大蛇になった乙女 (能の絵本)
片山 清司,白石 皓大

実際、「能」というものは、日本の伝統文化の中で育まれたものとは言え、私にとって身近なものではありませんでした。
道成寺―大蛇になった乙女」を読むと、こんなに激しく恐ろしい女の情念を描いた物語が、「能」という形で演じられていたことに驚かされます。

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昔、天皇の命により、紀州の日高に建設された立派なお寺がありました。道成寺です。
道成寺は人々の信仰を集め、隆盛を極めましたが、あるときから、大切なつき鐘を失っておりました。
長らく、つき鐘のない時代が続き、あるときやっと新しい鐘が造られ、そのお披露目の日となりました。
鐘の供養の間、結界をしき、女人禁制で式典が行われることになりました。
供養も終わりかけたころ、ある一人の女が、鐘の供養のためにおどりを奉納したいと申し出てきました。
はじめ「女人禁制だから」と断っていた寺男たちですが、女に説き伏せられ、寺男たちは女を中に入れてしまいました。
あやしく美しく舞をおどる女を見ていた人々は、不思議なことに寝息を立て始めました。
すると川が騒ぎ、木々がささやき始めます。
「大変なことが起こります」

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ある若い層を好きになってしまった若い女の、激しすぎる情念の物語です。
難しい言い回しも使われておりますが、幼稚園の年長さんでも背筋が凍る恐ろしさを感じる絵本だと思います。

ぜひ、読んでみてくださいね。


八つくびのおろち

八つくびのおろち
さねとう あきら, 関屋 敏隆

八つくびのおろち」というこの本は、その題名のとおり、なんとも恐ろしい八つ首の大蛇が登場しますが、そのストーリーは、とても切ない物語です。

ある所にケンカは強いが、ばくちばかりしていて働かない男と、それに文句も言わず甲斐甲斐しく働く妻、それに7人の子供がおりました。
ばくちですっかり財産を使い果たし、「ちょっと行ってくる」と家を出た男は、そのまま侍になろうなどと思いつき、妻にも話さず家には戻りませんでした。
残された家族はすべてを失い、山の上の祠に住んでその日その日を暮らしておりました。
そしていつもいつも、いなくなった父のことを待っておりました。
あるとき、大変なことが起こりました。
子どもがひとり、近くの川に落ちたのです。
助けようとした母親・兄弟が次々に川に飲み込まれていきました。
しばらくのち、この川に八つくび、おそろしい大蛇が現れるようになりました。…

情けない父、それでも父を待ち続けた家族の物語です。
ぜひ読んでみてくださいね。


奈良の大仏様

こがねの仏鉢(ぶっぱつ)
西本 鶏介, 清水 耕蔵

本当にこんなことがあったのでしょうか。こちら「こがねの仏鉢(ぶっぱつ)」は奈良の大仏様が作られる時の物語です。

奈良時代、信心深い天子さまは奈良の都に日本一の大仏を作る決心をします。そこで大仏を作るにあたり、日本一の大仏を作ることのできる仏師探しが始まります。
天子さまから仏師探を命ぜられた男は、仏師探しの旅に出かけました。旅をつづけあちこちの仏師を訪ね歩きましたが、どの仏師も。「そんな大仏なんて作ったことがない」と首を振ります。
都を出てからもう三月。疲れ果てた男が見た夢の中に現れた老人が言いました。
「明日の朝一番に出会った男が、まことの仏師ぞ。」
さて、男が翌日一番に出会った男は、まだ子供のような若者でした。
名は「公麻呂」。

公麻呂は粘土の仏様なら好きで作っているが、仏像すら作ったことがない、と言いました。
それでも、夢のお告げを信じれば、この若者がまことの仏師。
若者の両親に許しを得て、男は公麻呂を都へ連れて行きました。


今、堂々と奈良の大仏が存在しているのは、小さな仏像作りの経験もない、子供のような若者の設計による仕事だったというお話ですので、信じられないような、驚きの物語です。

身も心も尽くして仏像を完成させた若者が、天から不思議に降りてきたこがねの仏鉢(ぶっぱつ)を授かるという結末。

奈良の大仏がものすごく大きく存在している、ということを理解していない子供には、驚きの少ない物語ですが、知っている子供にはぜひ読んで聞かせたい、おすすめの絵本です。
ぜひ読んでみてくださいね。


「ぶす」

狂言えほん ぶす
もとした いづみ, ささめや ゆき

「ぶす」っていったい何かしら?醜いお顔の登場人物でもいるのかしら?と思って読んでみますと、ずいぶん前から子供たちも慣れ親しんでいる「和尚と小僧」のお話でした。
「和尚と小僧」というタイトルで書かれている本もあれば「一休さん」のとんち話として書かれている本もあります。
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おいしい黒砂糖を独り占めしたい和尚さん。
小僧さんたちを残して出かけるときに、和尚さんは小僧さんにいいました。
『いいか、このつぼの中には「ぶす」という大変な毒が入っておる。つぼのほうから吹いてくる風に当たるだけでも死ぬという大毒だ。くれぐれも近づかないように』
そう言われると小僧さんたちは、つぼのことが気になって気になって仕方がありません。ついに…
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つぼの中身をすっかり舐めてしまった小僧さんが、とんちを働かせて和尚さんを負かす、という筋書きです。
お話はなじみ深く、むしろこのなじみ深いお話が狂言で演じられていたことに新鮮な発見がありました。

ぜひ読んでみてくださいね。

かえるの平家ものがたり

かえるの平家ものがたり
かえるの平家ものがたり
日野 十成, 斎藤 隆夫

こちらの絵本、ちょっと変わっていますが、意外に面白い!と感じた絵本です。

牛若丸(うしわかまる)や源頼朝(みなもとのよりとも)、平家や源氏が登場する物語なのですが、源氏は全て「かえる」、うしわかまるも「かえる」、そして敵である「平家」はネコ、という設定です。
大勢の源氏かえる軍が束になって向かっていっても、全く歯が立たない負け戦になったところを、うしわかまる発案の戦法で平家ネコをやっつける、という筋書き。

本来の平家物語をある程度ざっくりご存知の大人でも、全く違う設定による平家物語として楽しめるし、平家物語を全く知らない子どもでも、何となくお話の世界を楽しめます。

文章が最初から最後まで「五・七・五調」的なテンポでリズミカルにまとめられているのが、とても良い聞き心地。「べ・べん・べん…」と琵琶法師にでもなったつもりで、うたうように読んであげたくなります。
逐一意味が分からなくても、言葉のリズムを大切に、一気に読みたい絵本です。

「姨捨山」の「おば」の意味

姨捨山
姨捨山
西本 鶏介, 狩野 富貴子

「姨捨山」は有名な昔話ですから、小さい頃から知っていましたが、今の今まで「おば」=「おばあさん」だと思っておりました。
それがこの絵本を読んで「おば」=「伯母」だと言うことが分かります。

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小さい頃に両親に先立たれ、天涯孤独となってしまった男の子がいました。
その男の子の所に「お母さんの姉」という人が現れます。
お母さんの姉=伯母さんであるその人は、実の母親のように心を込めて男の子を育ててくれました。
また男の子も、伯母さんを実の母親のようにおもい、慕っておりました。
そんな仲むつまじい親子でしたが、男の子はいつしか若者になり、妻をもらいました。
妻は初めこそ優しい人でしたが、だんだんと年老いていく姑を疎ましく思うようになり、意地悪をしたり、有りもしない悪口を、夫に告げたりしていました。
ついには「顔を見るのもいや。山に捨ててきて」と夫に頼む妻。
それに従ってしまう若者。
ある日山のお寺でいい説法が聞けるからと、おばあさんをだまし、おんぶして山に連れて行きます。

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山においていくシーンから後の心の描写が丁寧に描かれています。
「姨捨山」を読むならぜひこれを、とおすすめしたいような1冊です。

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