与謝野晶子絵本

評価:
与謝野 晶子
架空社
¥ 1,575
(1994-04)

JUGEMテーマ:読書


絵本の世界には、
実体験に基づくお話、
非現実的な、不思議世界のお話、
日常のありふれた中にある楽しさを描いたお話、
ありえないようなスケールの大きいお話、
こんな風だったらいいのにな、という夢いっぱいのお話、

…など様々ありますが、こちらの「きんぎょのおつかい」は「日常」と「非現実」が混在していて、
この混在の不思議な感じを飲み込むまでは
「このおはなしって、なに???」
という戸惑いを感じますが、いざ、この不思議な世界にどっぷりハマって読み始めると、
何とも言えない面白さを味わえる絵本だと思います。

主人公は3匹の金魚たち。それぞれにご主人がいて
普段は飼い主の坊やたちによって、いたって普通に金魚ばちで飼われている金魚たちなのです。

ある日、ひょんなことから、この金魚たちはご主人の坊やから「お使い」を頼まれます。
金魚たち3匹で、電車に乗り、とある場所まで「お使い」に行くのです。

金魚ばちから出て町を歩くのは、この3匹にとってたいへんなことではないのかしら。
そんな読み手の心配をよそに、これから先の不安などみじんも感じさせずに、3匹のきんぎょたちは「お使い」に出かけます。
3匹の金魚たちは駅にやってきました。そして電車に乗りました。
電車がいよいよ出発しようという、まさにそのときです。
金魚の1匹が言いました。
「車掌さん、車掌さん、電車に水を入れてくださいな」
またベつの金魚も言いました。
「水がないと私たちは生きられないんですから」
3匹目の金魚もいいます。
「はやく、はやく、、、しぬ、しぬ〜!」


不思議な絵本の世界の話とはいえども、なんて浅はかで、なんて自分勝手な金魚たちなんでしょう
読んでいて、思わず笑いがこぼれてきます。
結末は、駅員さんの協力もあって、3匹は無事に、電車の行き帰りの冒険も乗り切り、それぞれのご主人の待つ家へと帰ることができるのです。

とても不思議でとても面白い物語。
短歌で有名な、与謝野晶子さんの、子供向け童話である点もみどころの一つです。
与謝野晶子さんといえば、有名なとことろでは「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」という短歌があります。当時女性が恋愛感情や官能的な表現をすることなど考えられなかった時代に、おおらかに、自分の言葉で表現した歌人です。
そんな先駆的な表現者であった与謝野晶子さんが、こんなほのぼのとした作品も書かれていたということも知ることができて、うれしい気もいたしました。


ぜひ、読んでみてくださいね。


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