怖面白い落語絵本

めだま―落語絵本
めだま―落語絵本
鈴木 靖将

落語というものは、口から出る言葉と音、そして身振り手振りだけで情景を伝えるものですから、落語絵本というと、「絵と文字で伝える」ということで、本来の落語とはちょっと別のジャンルになるのかもしれません。
でも、「絵がある」からこそのよさ、ストレートに伝わる良さが、この本にはあると感じた、落語絵本です。

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お江戸の日本橋、横山町に、べっこう問屋を営む近江屋源兵衛(おうみやげんべい)さんとういう店の主がおりました。
この源兵衛さん、苦労して一代で財をなした人ですから、それはものすごいしみったれ、けちん坊でございます。
一人息子の跡取りもおりますが、この源兵衛さんはなかなか跡目は継がせません。
今日もつるした梅干しをにらみながらご飯を食べ、大切なお金を一文でも減らすまいと、大きな目玉で店の中をにらみまわしておりました。
番頭の墨のすり方が多ければたちまち雷が落ち、とにかく質素倹約の一点張りです。

そんな源兵衛さんもさすがに病にだけは勝てませんでした。名医である玄庵先生の治療もむなしく、ぽっくりとあの世へ旅立ってしまいます。

さて残された跡取り息子と従業員、源兵衛さんの四十九日を迎える頃にはすっかり店の雰囲気も変わり、明るい雰囲気。店を早じまいして忌み明けの酒を飲もうということになりました。
店を早じまいして酒を…なんていう計らいに、涙を流して喜ぶ番頭さんでしたが、そこへ、ひょっこりと玄庵先生が顔を出します。
何やら大きな風呂敷包みを持っており、なにやらポチャポチャと音がするので、
「お酒か何かですか?」
と若旦那がきくと、
「いや、もっと大変なものだ」
と玄庵先生。そして、
「大旦那は…生きておる」
と申されました。

え、生きている…親父が!?

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え、なになに、どうなるの?と先が知りたくて、わくわくしながら読み進められる絵本です。
大旦那がどのように生きているか、から先のくだりはちょっと怖いような、気味の悪いようなお話にはなりますが、結末、しっかりと落ちがつけられるところが、さすが落語といったところです。

「目が飛び出る」「目は口ほどにものをいう」
などという表現の意味がわかる大人なら、絵がなくても十分理解できるお話なのですが、小さな子どもたちでも、ストレートに伝わる挿絵つきの、この絵本なら、幼稚園ぐらいの小さいお子さんでも、お話の面白さをたっぷり楽しめると思います。


ぜひ、読んでみてくださいね。


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