「罰は?」

やぎとぎんのすず―ルーマニアの昔話 (チューリップえほんシリーズ)
八百板 洋子

昔話の世界では、えてして教訓じみたものが多く、悪さをしたら罰が下ったり、怠けて働かなければあとで困ったり、子供にストレートに伝わる、明確な「教訓話」が多いものです。
アリとキリギリスのお話はその代表格。
こぶとり爺さんに出てくる、「隣の欲張りじいさん」も、したきり雀の欲張りばあさんも、「欲張ると罰が当たる」という教訓話の代表選手です。
世界にいろいろな文化はあり、価値観がそれぞれであっても、教訓話は多くの国に存在しています。


そんな中、こちらのルーマニアの昔話はこんな風にお話が進みます。
-----------------

ある農家に飼われていた一匹のヤギは、ご主人に銀の鈴をつけてもらいました。
銀の鈴をつけたヤギは、歩いていっていばらの茂みの前まで来ました。
いばらはいいました。
"私のとげは痛いですよ。よけて通ったほうがいいですよ"
まっすぐ歩きたいと意地になったヤギは、いばらの忠告も聞かずに、いばらの中に首を突っ込み、そのせいで大事な銀の鈴が取れてしまいました。
ヤギはいばらのせいにし、腹を立てます。
ヤギは、いばらを切り倒してやろうと考え、のこぎりにいばらを切ってくれるように頼みます。
のこぎりは断ります。ヤギがわがままだとおもったからです。
ヤギは言うことを聞いてくれないのこぎりにも腹を立て、「火」のところへ行きました。「火」に、のこぎりを燃やしてくれるように頼みます。
「火」は断りました。ヤギが悪いと思ったからです。
「火」に腹を立てたヤギは「川」のところへ行き、火を消してくれるように頼みます…

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こんな風にやぎのわがままに次ぐわがままが書き連ねてあります。
当然「最後はきっとヤギに罰が当たるよ」と想像して読んでしまいます。
子どもたちも同じく、どんな重い罰がヤギに下るのだろうかと、罰の内容まで考えながら聞いています。

でも、結末は「罰」ではありませんでした。
最後にヤギは農家のご主人のところへ行きます。どんなに森のみんなが自分にひどいことをしたか、ご主人に話します。
すると御主人は言いました。

「なんてお前は考えが浅いんだ。」

そしてヤギの手を引き、いばらのところまで連れてくると、ヤギ自身の手で鈴を拾わせ、また首につけてあげるのです。
ヤギは自分のしたことが恥ずかしい、とおもって、それで、お話は終わり。

え・・?罰が当たらないの?あんなにわがままなヤギなのに?

そんな感想がこぼれました。

でも、それでいいんですよね。本当は。
浅はかな行為をしたら、罰を受けることよりも、浅はかな行為だったということを、自分で理解するほうがより大切。

もしかしたら、子供への教訓よりもむしろ、大人に対するメッセージかも知れません。

なんとなく、深イイ、「やぎとぎんのすず」ぜひ読んでみてくださいね。




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