宮沢賢治

やまなし
宮沢 賢治, 遠山 繁年
本音で申しますと、宮沢賢治さんの作品は、どこか非現実的で、あらぬ方向をみているような印象があり、心から好きにはなれませんでした。
貧乏で苦労した人生の中で書いたことを思えば、そんな非現実的な作風こそが、現実離れしているとさえ思えます。
「銀河鉄道の夜」も「グスコーブドリの伝記」も、子ども達と一緒に読みました。
子ども達の反応はいいのですが、母的には素直に読めませんでした。
自分の命を人のために捧げることを、余りにも美しく描きすぎているからです。
どんな人も人の子。命を落とすことで悲しむ人がいるのに…と思ってしまいます。
そう言う意味では、こちらの「やまなし」は、前半よくわからない表現が続くものの、全体的には父ガニと子ガニ兄弟のやりとりが楽しく心地よい作品で、素直に好きになれた絵本です。
個人的には宮沢賢治さんの作品の中で一番好きといっても良いぐらいの印象です。
見所は、やはり文章表現の細やかさ。
読んでいると自然に目の奧に美しい情景が広がってきます。
言葉遣いが非常に丁寧なところも、宮沢賢治さんの持ち味です。
「銀河鉄道の夜」や「グスコーブドリの伝記」に比べて、お話が短いですから、幼稚園でも聞けると思います。
ぜひ読んでみてくださいね。
- 2006.12.28 Thursday
- 世代を問わず
- 21:42
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- -
- by atu
そうですね。賢治への愛情!確かに(笑)
夢枕獏さんの小説、こちらは存じあげませんでした。
いつか読んでみたいと思います。