ふきまんぶく

ふきまんぶく
ふきまんぶく
田島 征三

東京の日の出村がお話の舞台です。今現在の「東京の日の出村」はどんな所でしょうか。お話の中の「東京の日の出村」は野山や馬や牛と共存する、とても素敵な田舎の風景です。

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お顔のまるいふきちゃんは、みんなに「ふきまんぶく」とよばれています。お顔がおまんじゅうみたいに丸いから。
「まんぶく」とは「まんじゅう」のことです。こちらの地方では「ふきのとう」のことを「ふきまんぶく」とよんでいます。
そんなふきちゃんが、ある晩、ふと山の方をみると、ひとところだけなんだかほかとちがう、温かそうに見えるところを見つけました。ふきちゃんはその場所をめざしてひとり歩いていきます。
行ってみると、その場所は、たくさん「ふき」が生えていました。ふきのおおきな葉っぱの表面に、よつゆがのってお月様の光を反射していたのでした。

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「ふきちゃん」と「ふき」の不思議で楽しいひとときを描いています。
何となく惹きつけられる絵本です。
ぜひ読んでみてくださいね。

春のしらせ

はるのてがみはなにいろ?
はるのてがみはなにいろ?
生源寺 美子, 二俣 英五郎

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ふかい いりうみのそこで
たいのむれが しずかにねむっていました。

ぼうやのこだいは
「つまんないの。いつまでこうやって じっとしているのかな」
ぼうやはからまっている もをはねのけて ちょんとあたまをだしました。
かあさんだいは「まだよ、ぼうや。まだはるのてがみがこないのよ」
「はるのてがみがこないうちは、うみのみずはつめたくて およいでいけないの」

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たいのこどもが「はるのてがみってなんだろう?」
とはるのてがみをさがしながら、春を待つお話です。

さて、春の手紙って何でしょうか?
読む前に、読みながら、想像しながらよむと楽しい絵本です。
ぜひ読んでみてくださいね。

季節の味覚

よもぎだんご
よもぎだんご
さとう わきこ

こどものころ、今は亡きおばあちゃんが上手につくってくれたよもぎ餅。今でも時々ご近所の方から頂いたりして、美味しくいただいております。ヨモギを練り込んだよもぎ餅は春の香りがして、大好きです。
ヨモギそのものは、大変丈夫な植物で、年中そこら中に生えておりますが、よもぎ餅を作る材料として使えるのは、春の間だけです。
この時期をのがすとヨモギはスジっぽく固くなり、おもちに突き込むことができなくなります。

さて、理論編はOK。さてつくってみようか…と言っても、幼児の頃の記憶を辿ってつくるのは無理。おばあちゃんのよもぎ餅作りのお手伝いなどほとんどせず、もっぱら食べるだけだったのですから。
私の母も今はおばあちゃんですが、働く女性だったため、よもぎ餅作りなんて知りません。
そこで。ばばばあちゃんの「よもぎだんご」。
こちらは、「餅」ではなく、お米の粉を使ったお団子なのですが、ヨモギの摘み方、調理の仕方なと、懇切丁寧に描かれています。
この絵本のおかげで、作り方を全く知らない家族みんなで、美味しいよもぎ団子とよもぎ餅を作って食べることができました。

食べ比べれば、よもぎ餅の方が断然美味しいのですが、子ども達が自分の手でつくるのには、団子の方が扱いやすいのです。
おうちのまわりにヨモギが生えている方は、ぜひ、この絵本を参考に、両方つくって、あーでもない、こーでもないと言い合いながら、楽しんでつくって、食べて見てくださいね。

「つくし」の調理法もあり、食べられる草料理本としても参考になる絵本です。

菖蒲とヨモギ

菖蒲とヨモギ」は岩手に伝わる昔話です。
2005年は6/4が旧暦の「こどもの日」、端午の節句です。
昔は、この日に菖蒲とヨモギをとってきて、屋根に指したりカブトを作って子どもの頭にむすんだりして「厄払い・魔よけ」の行事をしたのだとか。
昔といっても数十年前までは行われていたはずのこの行事、33歳の母にとっても遠い昔話の世界の話に感じます。
旧暦端午の節句にちなんで、「菖蒲とヨモギ」をご紹介します。
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むかしむかし、あるところにとてもけちな男がいた。
この男のけちなことと言ったら、「嫁が来ると飯が減る。飯の食わない女が良い」といって嫁も取らずに生きていたほどだったと。
そんな男の所へ、たいそう美しい女が来て「私は米を食いません。嫁にしてください。」といってきたんだと。男はたいそう喜んで、その女を嫁にもらったんだと。
女は本当に米も食わず、たいそうな働き者だったと。
 (…ここまでは「食わず女房」によく似ています)
 (中略)
男がそうっと物陰から見ると女は髪をかき分け頭にぽっかり開いた大きな大きな口で、飯をワシワシ食っていたんだと。
女の正体はオニだったんだと。
男はたいそう驚いて「あっっ」と声を上げたんだと。
オニはその声に気づきミーターナーとわれ鐘のような声を上げて男を追いかけてきたんだと。
男は逃げて逃げて、4,5里は逃げて走ったど。
男はもう一歩も走れなくなり、もうこれまで…と思ったところ、目の前に菖蒲やヨモギが生い茂っていたんだと。
男は一か八か菖蒲とヨモギの林に隠れたんだと。
オニはすぐ追いついて男を見つけたんだと。
ところがオニの目にはどういう訳か菖蒲は刀(かたな)に、ヨモギは燃えさかる炎に見えたんだと。
オニは、こんな恐ろしいところにはいられねーと逃げていったんだと。
どんどはれ
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こんな昔話です。
菖蒲とヨモギが厄よけになる意味がよく分かります。

さて、菖蒲はどんな植物かご存知ですか?
それをひもといてみるのも奥深く、楽しいですよ。



季節物

春が終わらないうちに読んでおきたい絵本の1つが「ふき」(斎藤 隆介, 滝平 二郎)。
春を告げる「ふきのとう」。こちらでは「ばっけ」と言って、天ぷらにして食べたり練りみそに混ぜて食べたりします。
その「ばっけ」がどんな風にして生まれたか…。
まさかこんなに心の痛む物語があるなんて、読むまで想像もしませんでした。

齋藤さんの作品はどれもすばらしく、文章表現も方言調でかつ繊細です。
滝平さんの挿絵がすばらしいことは言うまでもありませんが、「ふき」の鋭い感性に滝平さんの研ぎ澄まされた切り絵風の挿絵がとても良くマッチングしています。
「モチモチの木」が有名ですが、なぜこればかりが知られているのか個人的には不思議に感じます。それほど、丸ごとすばらしい作品です。

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