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評価:
水谷 章三
佼成出版社
¥ 1,365
(2007-04)
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日本中、地震や原発の心配で、不安に駆られがちな毎日ではありますが、
発する言葉は常に前向きでありたいものです。
活発化する余震で、もともと古かった子どもの学校の校舎はさらに損傷がひどくなり、
新学期を迎えた学校に通う子どもはもちろん、送り出す親としても、不安を感じずにはいられませんが、
「怖いね」
という言葉よりも
「気をつけて過ごして、元気で帰ってくるんだよ」
という言葉をかけるようにしています。
本当に、毎日わが子とともに命あることは、
あたりまえなことではないことを思い知らされる震災ですので、
朝起きたら「今日も無事で過ごせますように」と祈り、その日その日を大切に過ごしています。
当たり前のことですが、
今ある命を大切にして、
注意しつつも前向きな気持ちで、
はりきって、
元気に明るく、
小さな幸せに喜びを感じながら、
毎日を過ごしたいものです。
今日も、今学校で過ごしている子どもが、夕方は元気で家に帰ってきますように、
無事で一日が終わりますように、と祈りつつ、母は母でガンバリマス。
昨日読んだ絵本は「七人のふしぎなじいさま 」。朝鮮の昔話です。
「昔話」とは申しましても、現実離れしたお話の世界ではなくて、
朝鮮の歴史の中の一こま、といったような物語です。
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舞台は7世紀の初めの朝鮮半島。
朝鮮の北のほうには「高句麗」という国がありました
そこに襲ってきたのは、当時の中国にあった強大な国「隋」。
「隋」は大軍を率いて、高句麗の国を攻めました。
強大な隋の軍隊に攻められ、多くの高句麗軍は倒れました。
高句麗の国境近くでは、多くの人が死に、その戦場に残ったのは何もない焼け跡だけ。
にぎやかだったはずの町もなくなってしまいました。
隋の目的は、高句麗をわがものにすることです。
隋の大群は、高句麗の都、平壌を目指しました。
徒歩で平壌を目指す隋の大群の前に現れたのは、清川江(チョンチョンガン)。
川幅が広く、そして深く、流れも速い川です。
橋は見当たりません。
隋の大群は、こんな川をあるいて渡れるものかとどよめきます。
隋の大将はいらだちました。
その時です。
岸辺にいつ現われたのか、白いひげのじい様が7人現われました
7人のじい様はジャボジャボ川に入って行きます。
7人のじい様は、まるで子どもの水遊びのように、川の真ん中で、いかにも楽しそうな様子です
隋の大将は叫びました。
「ものども、あのじじいの後につづけー!」
隋の大群は「おー!」という掛け声とともに、清川江になだれ込みました。
10万、20万という大群です。
その時です。
7人のじい様の姿がふっと消えました。
そして…
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今でこそ北朝鮮と韓国の不安定な隣り同士が心配される朝鮮半島ですが、
朝鮮は、その昔から、
一度としてほかの国を侵略しようとしたことがない国だそうです。
そしてそのことに誇りを持っている国でもあるそうです。
歴史を見て初めてわかるその国ならではの国民性は、こんな物語を読んで知ることもできるのですね。
今日本では、震災後の冷静さ、団結力の良さなどが、世界から称賛されておりますが、
ほかの国の、その国ならではの国民性の良さも、きっと知らない部分がきっとたくさんあるのでしょう。
「七人のふしぎなじいさま 」は北朝鮮の良さを知ることができる絵本かもしれません。
ぜひ、読んでみてくださいね。